第20回 計算工学会 講演報告
講演タイトル : 「位相(トポロジ)最適化と構造要素法による内部荷重ベース設計」
この度、2015年6月10日につくば国際会議場に於いて開催されました第20回計算工学会
において、弊社代表取締役 高岡より「位相(トポロジ)最適化と構造要素法による内部
荷重ベース設計」の題目で講演させて頂きました。
お陰様をもちまして、多くの皆様にご聴講を賜りまして、誠にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げます。
【講演会概要】
「第20回計算工学講演会」の第3日目(2015/6/10)
日時:2015年6月10日(水)9:00~10:00
場所:つくば国際会館
主催:(社)日本計算工学会
【講演内容】 「位相(トポロジ)最適化と構造要素法による内部荷重ベース設計」
CAEの結果を適切に設計に利用するための手法として構造要素法による内部荷重ベース設計を
紹介します。内部荷重ベース設計は、航空機の構造設計で用いられてきた設計手法です。複雑な
形状を構造要素に分解し、荷重の流れと各部材の役割を理解して設計を進めます。
トポロジ最適化の中間要素の問題点を明らかにし、本設計手法を用いて位相(トポロジ)最適化の
評価・結果解釈に用いる例を示します。
発表スライドPDF
(目次)
1.はじめに
2.会社概要
3.内部荷重ベース設計とは
4.位相最適化の課題と活用例
5.まとめ
【質疑応答の概要】
Q1:構造要素設計法による評価方法をソフトウェアに搭載する計画はありますか?
A1:今のところございません。
汎用的に用いることができるように手法をブラッシュアップして検討したいと考えています。
Q2:最適化された結果が最適でないことに違和感を覚えるのですが、その原因は何ですか?
A2:最適化の密度分布(弾性率の分布)での結果は、正しいです。
しかし、スムージングの過程で、低密度の部分が機械的に削除されたことが問題です。
妥当性の確認の第一歩として、スムージング形状で再度FEM解析を行い、最適化結果と
一致していることを確認することを推奨します。
Q3:最適化の結果に問題があると思った場合は、体積制約値を段階的に増やして(例:30%
->40%->50%)どこが復活していくか、あるいは、段階的に減らして(例:50%->40%->30%)
どこが消えて行くのか、それらを比較し、必要な部分はどこかを探るのが一般的では
ないですか?
A3:はい、その通りです。重要部位を把握するためには一般的で、小職も推奨しております。
(補足:質疑応答時には答えられなかったことを以下に示します。)
但し、優先順位の把握は可能ですが、要・不要の判断は出来ないと考えます。
制約条件として体積を用いた場合、強制的に体積を下げるために、必要な部材も削除さ
れることがあるので、工学的に妥当か否かの判断を必ず行う必要があります。
例えば、今回の薄肉断面梁のように、側面の部材はせん断力を分担して曲げ荷重の伝達に
必須ではありますが、応力レベルが低いため、最適化により低密度もしくは削除される傾向
があります。上下面と側面の密度の水準(弾性率の水準)と応力レベルを比較すると一致し
ており、最適化の結果は妥当であることが分かります。
密度が低い、即ち弾性率が低いことは、側面の弾性率を初期と同等とした場合、板厚を薄
くする、もしくは軽減孔をあけることが設計案とすることが妥当であると考えます。
中間要素が問題となるケースとしては、体積制約が厳しい場合、曲げ荷重伝達においてせ
ん断力を分担する部位、ねじり荷重伝達においてせん断力としてねじり荷重を分担する部位
等が挙げられます。